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People 社員コラム 海洋建設の工法・技術

深梁工法とはどんな工法?メリット、デメリットをご紹介!

桟橋などの工事を行う際に重要な「深梁工法」というものがあります。これは、いったいどのようなものなのでしょうか?この記事では、深梁工法について詳しく紹介いたします。

深梁(ふかばり)工法とは?

深梁(ふかばり)工法とは、建物や構造物を安定させるために行われるもので、基礎を地下に作り、その上に深梁を設置します。主に既存の桟橋の補強や耐震強化、大型船舶などの着船などを可能にし、安定性を高め、構造物の加重を効果的に分散させるために行います。

一般的な梁と比較して、深梁は高さがあり、梁の断面積を増やすことができるため、大きな荷重に対しても強い支持力を持つことができます。深梁は基礎の柱との結合を強化するために、補強材や接合部材を追加で使用することもあります。

深梁工法の利点の一つは、長いスパン(支持間隔)を持つ梁を使用することで、建物内部の柱の配置を最小限に抑えることができ、広い空間を確保することができます。また、深梁は軽量でありながら強度が高いため、構造物の重量を軽減することができます。

さらに、大型重機がなくても簡易に補強することができ、効率性も備えています。工場の際は、事前に製造された深梁を現場に運んで組み立てることで、施工時間を短縮することができます。

その特徴的な形状と効果的な荷重分散能力により、耐震性や耐風性の向上、建物内部の空間効率の向上など、さまざまな利点を提供します。

目的

深梁工法の主な目的は、高層建築物や長大な桟橋など、大規模な構造物において高い強度と安定性を確保するために行われます。

例えば、既存の桟橋の鋼管杭に深梁を取り付け、多層ラーメン構造を構築することで、海底面から杭の出てる部分を短くし、鋼管杭にかかる断面力や応力を低減させる事ができるため、耐震補強や設計水深を増進させることも可能になります。

深梁設置状況
深梁設置状況

深梁工法の施工手順

深梁工法の実際の施工手順をまとめました。

1. 受け架台設置

受け架台とは、基礎や基礎梁の鉄筋を組むための支えとなるもので、杭と基礎や基礎梁を取り扱うつなぎ役のこと。受け架台を設置することで、水中で深梁を受け渡しすることができます。

2. 下地処理(ケレン)

水中で、下地となる部分をキレイにするケレン作業を行います。ケレン作業の詳細については、「ケレン作業とは?どんな作業?なんのためにやるの? | 社員コラム」をご覧ください。

3. スタッド・鉄筋

スタッドは間柱のことで、丈夫な壁や敷居を作る際に使用される部材です。スタッドを組むことで、施工部分の強度を高めることができます。

4. 深梁設置

ケレンやスタッド、鉄筋の施工完了後、深梁を設置します。大きいものだと8トンにもなるため、大抵の場合、クレーンで吊下ろして設置することができないため、ブイやエアーバルーンを使って水面に浮かせてから桟橋下へ移動させ、設置作業を行います。

5. コンクリート充填

充填部の補強としてコンクリートを充填します。

コンクリート充填状況
コンクリート充填状況

深梁工法を行う際の注意点

深梁工法は、既設杭の腐食が少なく、再利用が可能な桟橋が適用範囲になるため、既設杭の腐食が進んでいたり、再利用が不可能な桟橋は適用範囲外になります。深梁工法を行う際は、施工対象物が適用範囲であるかを見極めることが大切です。

深梁工法の重要性、メリット、デメリット

深梁工法は、既存桟橋に対して外力が増えたり、杭の腐食対策が必要となったりした場合に、費用などを抑えたまま施工を行うことができます。

メリットとしては、既設桟橋の耐震化や増深化を行うことができたり、桟橋を共有しながら補強することができたり、大型重機が不要なため、工期を短縮することができることです。特に現地工費や工期、共有停止期間などを大幅に短縮することが可能になります。

デメリットとしては、施工時に行う受け架台設置の際に、取付位置が少しでも上下してしまうと深梁が傾き、コンクリートを充填することができないことです。少しの傾きも許されない深梁工法では、高度な施工技術が必要になります。

また、施工は、深梁をブイやエアバルーンに設置しながら作業を行うため、波浪状況や潮位、風、深梁の水平状態など、様々な要件をクリアする必要があります。

完成
完成

まとめ

深梁工法とは、深梁と呼ばれるものを使用して、既設桟橋を耐震補強したり設計水深を増進することができます。大型重機を必要としないため、工期や施工期間が少なく済むメリットがありますが、受け架台の精密な設置や波浪、風、天気の影響を受けるため、スムーズに作業が進まない場合があります。

作業における情報や取り組み等については、「技術・工法|東日本海洋建設株式会社」や「技術・工法 / 深梁工法|東日本海洋建設株式会社」を御覧ください。このほか、有益な情報を掲載しておりますので、気になる方は是非チェックしてみてください。お待ちしております。

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