2024-12-31
吊り足場とは?構造の安全対策と一般の足場との違い
工事の際に欠かせない「足場」ですが、実はくさび式足場や枠組み足場など、さまざまな種類があることをご存じですか?
今回は、海洋建設の工事に欠かせない「吊り足場」について、その基礎知識から用途やメリット・デメリット、さらに関連する資格までわかりやすく解説していきます。
吊り足場の構造や安全性について詳しく知りたい方や、足場に関する資格取得を目指している方にとって参考になる内容をまとめました。
この記事を読むことで、現場での活用や安全対策に役立つ知識を身につけることができるでしょう。
この記事では以下のような内容をご紹介しています。
吊り足場とは?
吊り足場とは、建物の屋上や橋梁などの高い場所からワイヤーロープやチェーンなどの吊り材を吊り下げて設置する“仮設の作業床”のことです。
地上に支柱を立てる一般的な足場とは異なり、宙に浮いた状態で作業を行うため、高所作業や特殊な形状の建造物における工事、点検、補修などに用いられます。
一般の足場との違い
吊り足場と一般的な足場(枠組足場や単管足場など)の大きな違いは、その支持方法にあります。
一般的な足場は地上に支柱を立てて組み上げるのに対し、吊り足場は高所から吊り下げて設置されます。この違いにより、それぞれに適した用途や特徴が異なります。
項目 | 吊り足場 | 一般的な足場(枠組足場など) |
---|---|---|
支持方法 | ワイヤーロープ等で吊り下げ | 地上に支柱を立てる |
設置場所 | 高所、特殊形状の建造物 | 比較的平坦な地面 |
用途 | 高所作業、特殊な形状の建造物における工事・点検・補修、地上に足場を組み立てるスペースがない | 一般的な建築工事、塗装、修繕など |
安全性 | 落下防止措置の徹底が必要 | 足場の安定性確保が重要 |
吊り足場は、地上に足場を組み立てるスペースが確保できない場合や、高所作業車などを使用することが困難な場合にも活用します。
海洋建設の作業においては、橋梁の下面検査など、特殊な状況での作業を行う際に活用しています。また、吊り足場は作業床の高さを自由に調整できるため、効率的に作業を行うことができます。
ただし、吊り足場の設置や解体には専門的な知識と技術が必要なため、安全性を確保するためにも厳格な管理体制が求められます。
吊り足場の構造と用途
吊り足場は、高所作業での安全性を確保するために、構造上さまざまな工夫が凝らされています。ここでは、吊り足場の構造と、どのような作業で使用されているかについて解説します。
吊り足場の構造について
まず、吊り足場の構造について紹介します。吊り足場は、主に以下の構成要素から成り立っています。
構成要素 | 説明 |
---|---|
作業床 | 作業員が作業を行うための床。必要な強度と広さを確保する必要がある。 |
手すり | 作業員の転落を防止するための柵。高さや強度に関する規定がある。 |
吊りチェーン/ワイヤーロープ | 作業床を吊り下げるための部材。材質や太さ、点検方法などが規定されている。 |
吊り金具 | 吊りチェーン/ワイヤーロープと作業床を接続する金具。強度や耐腐食性が求められる。 |
アンカー | 吊りチェーン/ワイヤーロープを固定する支点。建物の構造や強度に応じて適切なアンカーを選択する必要がある。 |
中間支持部材 | 吊りチェーン/ワイヤーロープが長くなる場合に、中間で支持するための部材。安定性を高める役割がある。 |
電動ホイスト/ウインチ | 作業床を昇降させるための装置。安全装置の設置や定期的な点検が必要。 |
これらの構成要素が組み合わさることで、安全に高所作業を行うことができます。それぞれの要素には、強度や材質、設置方法などに関する詳細な規定があり、厚生労働省の労働安全衛生規則などで定められています。
吊り足場の用途〜吊り足場の使用シーン〜
吊り足場は、主に以下のような作業シーンにおいて活用されます。
- 橋梁の点検・補修
- ビルの外壁塗装・清掃
- プラントのメンテナンス
- ダムの点検・補修
- 船舶の修理・塗装
これらの作業は、地盤の状況や周囲の環境により、一般的な足場の設置が難しい場合が多いため、吊り足場を使用することが有効な手段となります。
また、工事の規模や期間に応じて、吊り足場の規模や構造を柔軟に変更することができるため、さまざまな状況に対応することが可能です。
吊り足場の安全性とメリット・デメリット
吊り足場を使用する際には、その安全性、メリット・デメリットをしっかりと理解しておくことが重要です。
高所作業の安全性を確保し、作業効率を高めるためには、適切な足場を選択する必要があります。
吊り足場の安全性
吊り足場は、地上から離れた場所で作業を行うため、その安全性は特に重要です。落下事故などを防ぐためには、適切な安全対策を講じる必要があります。
吊り足場の安全対策
吊り足場の安全性を確保するための主な対策は以下の通りです。
- 作業床の点検
- 支持構造の点検
- 安全帯の使用
- 落下防止ネットの設置
- 風対策
吊り足場にするメリット
吊り足場には、他の足場にはないメリットがいくつかあります。状況に応じて適切に使用することで、作業効率を向上させることができます。
メリット | 詳細 |
---|---|
設置・解体が容易 | 地上に支柱を立てる必要がなく、設置・解体が容易なため、工期短縮につながります。 |
狭い場所での作業に最適 | 地上に支柱を立てる必要がないため、狭い場所や障害物がある場所でも設置が可能です。 |
景観への影響が少ない | 地上に支柱がないため、景観への影響を最小限に抑えることができます。 |
吊り足場にするデメリット
吊り足場には、メリットだけでなくデメリットも存在します。これらのデメリットを理解したうえで、採用を検討する必要があります。
デメリット | 詳細 |
---|---|
揺れやすい | 風などの影響を受けやすく、揺れやすいというデメリットがあります。そのため、高所作業に慣れている作業者でないと作業が難しい場合があります。 |
設置場所の制限 | 吊り下げるための適切な構造物が必要となるため、設置場所に制限があります。 |
安全管理の徹底が必要 | 地上から離れた場所での作業となるため、安全管理を徹底する必要があります。 |
天候の影響を受けやすい | 強風や雨天時には作業ができない場合があります。 |
吊り足場の資格について
吊り足場を組んだり解体したりする際には、安全性確保のために必要な資格が存在します。
作業を行うためには、以下の資格を適切に取得しているかどうかが重要になります。無資格での作業は法律違反となるだけでなく、重大な事故につながる可能性もあるため、十分な注意が必要です。
足場の組み立てや解体には資格が必要
足場の組立て、解体、変更作業には、法律で定められた資格が必要です。
具体的には、足場に関する技術や知識を持ち、現場で災害や事故防止のために指揮をとる「足場組立主任技術者」や、実際に現場で足場の組み立てや高所での作業を行うための資格「足場組立作業者(特別教育)」が必要です。
安全な作業環境を確保し、事故を未然防止するためにも、資格を取得することが重要なポイントになります。
足場組立主任技術者・足場組立(特別教育)の役割と資格について
「足場組立主任技術者」と「足場組立(特別教育)」の試験・受講内容については、こちらの記事をご参照ください。
足場組立主任技術者とは?
足場組立主任技術者は、足場の組立て、解体または変更の作業現場において、作業に従事する者の指揮、監督を行うための国家資格です。
厚生労働省が定める講習を受講し、修了試験に合格することで取得することができます。この資格は、吊り足場を含むあらゆる種類の足場作業に適用されます。
作業現場における安全管理の責任者として、作業計画の作成、作業手順の指示、安全点検の実施など、重要な役割を担います。
5メートル以上の高さのある足場の組み立て&解体変更などの作業には、足場組立主任者による指揮と安全管理が必須となります。
足場組立作業者(特別教育)
足場組立作業者(特別教育)は、足場の組立て、解体、変更作業に直接従事する作業者向けの資格です。こちらも厚生労働省が定める講習を受講し、修了することで取得することができます。
労働災害の防止を強化するため、吊り足場を含む一定規模以上の足場作業に従事する場合には、この特別教育の受講が平成27年7月1日より義務化されました。
講習では、足場の種類、組み立て方法、安全対策、関係法令など、安全に作業を行うために必要な知識と技能を習得します。
資格 | 役割 | 対象とする足場 | 取得方法 |
---|---|---|---|
足場組立主任者 | 作業指揮・監督 | 全種類 | 講習受講・試験合格 |
足場組立作業者(特別教育) | 作業従事 | 一定規模以上 | 講習受講 |
吊り足場作業に従事する際には、それぞれの役割に応じて適切な資格を取得し、安全かつ法令に則った作業を行うことが不可欠です。
まとめ
今回は、海洋建設の工事を行う際に必須である「吊り足場」の概要から構造、安全性やメリット・デメリット、関連資格まで解説しました。
吊り足場は、ワイヤーロープやチェーンなどの吊り材を吊り下げて設置する“仮設の作業床”のことで、高所作業の効率性と安全性を確保するために重要な役割を果たします。
特に、橋梁工事やビルの外壁改修工事など、一般的な足場の設置が困難な場所で活用されています。 吊り足場の設置や解体には、専門的な知識と技術が必要となるため、足場組立主任技術者の資格や足場組立作業者(特別教育)の講習を受けた作業員が携わる必要があります。
弊社では、未経験からでも土木施工管理技士を目指せるよう、バックアップしています。働きながら資格を取得し、共に社会のインフラを支える仕事に携わってみませんか?
資格手当や研修制度も充実しているので、少しでも興味のある方は求人応募フォームへお気軽にご連絡ください。
私たち東⽇本海洋建設は、これからの⽇本の国⼟を⽀えてくれる、チャレンジ精神溢れる⼈材を求めています。若⼿が闊達に意⾒を述べ、ベテランとの相乗効果を発揮して、技術⼒を⾼め、信頼を得られる仕事を続けていく、それが当社の理想であり、その姿が今社⾵として根付いてきています。
⾃分の気持ちを表現すると同時に⼈の話も聞ける⼈、双⽅の⽴場に⽴って、互いの意⾒を調整することにやりがいを感じられる⼈、そして、相⼿のためにやったことが⾃らのためになると信じて前に進んでいける⼈──そんな⼈たちからのご応募をお待ちしています。
⼀緒に、⽇本の未来を⽀えていきましょう。