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People 社員コラム 海洋建設の工法・技術

電気防食工事と潜水士

金属の腐食を防ぐ工事を防食工事といいますが、海洋土木工事において電気防食は関係が深い工事であるのをご存知ですか?

東日本海洋建設の防食工事は、電気防食法と被覆防食法を施工実績とともにご紹介しています。海洋土木工事で多く取り扱われる、この防食工事について詳しく説明したいと思います。また、その工事を行うにあたって縁の深い潜水士の仕事についても触れていきます。

防食工事とは

海洋環境においては、塩分や酸素が、金属でつくられた構造物を参加させて腐食させます。構造物や設備を、この腐食から守るための工事を防食工事といいます。

腐食により、構造物の耐久性が低下することで、安全性にも影響を与えることがあります。したがって、防食工事は海洋土木においては欠かせない技術になります。こちらでは電気防食法と被食防食法について説明します。

電気防食法

電気防食工事施工状況
電気防食工事施工状況

電気防食法とは、防食工事のひとつをさします。電気を流して防食電位にした構造物により、腐食を防ぐ方法です。塗装やメッキを施すことができない状況下で用いられます。

構造物に対して外部から電流を流すこの方法は、海中や地下に設置される金属構造物に対して広く利用されています。

長期的に安定した防食効果が得られるので、長い年月で耐久性が求められる桟橋や橋梁、船体などの建築に使用されます。

被覆防食法

被覆防食法とは、防食工事のもうひとつの方法です。構造物を樹脂などの被膜で覆い、水や酸素といった腐食を促す因子を物理的に遮断する方法です。

この工法は、潮の干満によって空気中に出たり水に浸かったりする部分である鋼管の杭や桟橋橋の設備に用いられます。

被覆防食工事は通常、水深の浅い場所で行われますが、悪天候による波や船舶の起こす波が作業に大きな影響を与えることがあります。

インターネットで気象情報を収集し、早めの作業中止判断を行ったり、警戒船を用いて他の船舶に速度減速を促したり、などの作業環境を安全に保つ準備が必要です。

東日本海洋建設の防食工事事例

東日本海洋建設では、さまざまな海洋構造物に対して防食工事を実施しており、その施工実績は多岐にわたります。そのうちの2例をご紹介します。

川崎人工島 風の塔(東京湾アクアライン換気設備)電気防食工事

このプロジェクトでは、東京湾アクアラインの換気設備である「風の塔」に電気防食法を導入しました。作業環境は最大水深が20メートル以上で、鋼管が複雑に絡み合い、まるでジャングルジムのような状況でした。

そこで、事前に図面を用いて水中の状況を詳しく確認し、念入りに準備と打ち合わせを行いました。事故を絶対に起こさないというスローガンを掲げ、潜水士が減圧症にならないようにと、送気員や連絡員が厳しく安全管理を行いながら工事を進めました。

こうした徹底した安全対策と緻密な準備のおかげで、無事に工事を完了させることができました。

福井火力発電所F岸壁の被膜防食工事

被覆防食工事施工状況
被覆防食工事施工状況

福井火力発電所F岸壁での工事は、被覆防食法を用いて1.4キロメートルにわたる広範な作業でした。工期は約1年1ヶ月に渡りました。

その工期には、事前調査から始まり、被覆防食、海底土砂の浚渫、鋼矢板の腐食穴の補修といった多岐にわたる工程が含まれていました。

予想外の工程にはその都度現場で打ち合わせを行い、問題を解決しながら作業を進めました。

例えば、予期せぬ鋼矢板の腐食穴を見つけた際には、その場で補修方法を検討し、迅速に対応し、全ての工程を無事に完了させ、計画通りに工事を終えることができました。

防食工事と潜水士

潜水士は、水中の作業を担う専門家です。水中調査や、設置工事、保守点検、修繕工事、清掃作業など、その仕事は多岐に渡ります。彼らは海中での作業を安全かつ効率的に行うための専門知識と技術を持っています。

水中調査

水中調査では、潜水士が海中に潜り、視覚と触覚を使って詳細な情報を収集します。桟橋や橋梁の支柱が腐食していないかを確認することで、防食工事の適切な修繕の予定やメンテナンスの計画をすることができます。

設置工事

次に、設置工事も潜水士の重要な仕事です。防食装置や他の設備を設置する際には、潜水士が正確な位置に装置を取り付け、電気接続を行います。

海底に設置される電気防食装置やケーブルの設置では、潜水士が慎重に作業を進め、最適な効果が得られるようにします。これにより、効果的な防食が可能となり、構造物の耐久性が向上します。

保守点検

保守点検も潜水士の大切な役割です。防食装置の電流が正常に流れているか、ケーブルに損傷がないかなどの既存の防食システムの定期的な点検により、構造物の安全性と耐久性が確保されます。

修繕工事

修繕工事も潜水士の仕事のひとつです。損傷した構造物の修繕作業では、潜水士が劣化した部分の修理や交換を行い、構造物の機能を回復させます。これにより、構造物の寿命が延び、コスト削減にもつながります。

清掃作業

清掃作業も潜水士の重要な任務です。構造物や防食装置の清掃では、電気防食装置の表面に付着した海藻や貝類を取り除くなどの汚れや付着物を除去する作業をしています。これらの清掃作業は装置の効果を維持することにつながります。

潜水士になるには

潜水士と海洋土木工事は切っても切れない重要な関係です。潜水士となって海洋土木の現場で活躍するために必要な資格取得について簡単に説明します。

日本で潜水士になるためには「潜水士」の資格を取得することが求められます。厚生労働省が管轄の民間の講習会で、学科試験と実技試験をクリアすることで取得できます。

学科試験では、潜水業務に関する理論や安全対策、法律などについて学びます。実技試験では、実際に潜水しての作業技術や緊急時の対応能力が評価されます。

試験に関する内容はこちらに詳しくありますので、興味のある方はぜひご参照ください。
安全衛生技術試験協会:https://www.exam.or.jp/exmn/H_shikaku611.htm

まとめ

防食工事は、海のなかの構造物の腐食を防ぐために欠かせない技術です。ご紹介した防食工事実績はほんの一部であり、他にも多くの施工実績があります。

そしてその技術には、潜水士の専門技術と経験が大きく関わっています。潜水士の主な仕事は、海中での調査、設置、点検、修理、清掃などです。潜水士の仕事は海洋土木工事と関係の深い資格があるといえます。

潜水士は、厚生労働省が管轄の企業や民間で行っている講習会で、学科試験と実技試験を受講し、試験に合格することで資格を取得することができます。

海洋土木に興味がある方や潜水士を目指す方に、この記事を参考にしていただけると幸いです。

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