2025-01-31
測量士と測量士補の違いとは?資格試験の難易度と内容

測量士と測量士補は、どちらも土地や建物の位置を正確に測る専門家ですが、その役割や資格には違いがあります。
この違いがよく分からず、「どちらの資格を取得しようか迷っている」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、測量士と測量士補の違いを解説すると共に、それぞれの仕事内容や資格試験の難易度と合格率、費用、資格取得までにかかる勉強時間についても詳しくご紹介します。
この記事を読むことで、測量士と測量士補の資格取得に向けて、どのように準備を進めれば良いのかを把握し、将来のキャリアパス設計に役立てていただけたら幸いです。
この記事では以下のような内容をご紹介しています。
測量士と測量士補の違いとは?
測量士と測量士補、どちらも測量に携わる資格ですが、その役割や業務範囲、求められる知識やスキルには違いがあります。
「測量士」は、測量業務の〝測量の計画から実際の業務を行う監督者〟であり、「測量士補」は〝測量士の作成した計画をもとに、実際に業務する者〟を意味します。この章では、両者の違いを詳しく解説していきます。
測量士とは?
測量士は、測量に関する専門的な知識と技術を持ち、測量計画の立案から実施、成果の検定まで、測量業務全般を監督する役割を担います。
公共測量はもちろんのこと、建設工事や土地開発など、様々な分野で正確な測量データを提供し、社会基盤の整備に貢献しています。測量士になるためには、国家試験に合格する必要があります。
測量士の資格は、測量に関する高度な専門性を証明するものであり、責任ある立場で活躍できる資格の一つです。
測量士の仕事内容
測量士の仕事内容は多岐に渡り、以下はその代表的な例です。
- 測量計画の立案と実施
- 測量機器の操作とデータ収集
- 測量データの解析と処理
- 測量成果の精度管理と検定
- 測量士補の指導監督
- 関係各所との調整
測量士は、これらの業務を高い精度と責任感を持って遂行する必要があります。例えば、道路や橋などのインフラ整備においては、ミリ単位の誤差が大きな影響を及ぼす可能性があります。
測量士は、そのような事態を防ぐため、常に正確な測量データを提供することに尽力しています。
測量士補とは?
測量士補は、測量士の指導監督のもと、実際の測量作業を行います。
測量機器の操作やデータ収集、簡単な計算など、測量業務の基本的な部分を担当します。測量士補も国家試験に合格する必要があり、測量に関する基礎的な知識と技術が求められます。測量士を目指す上での登竜門的な資格であり、測量の実務経験を積む上で重要な資格といえます。
測量士補の仕事内容
測量士補の主な仕事内容は、以下の通りです。
- 測量機器の設置と操作
- 測量データの収集と記録
- 簡単な測量計算の実施
- 測量機器の点検と保守
- 測量現場の安全管理
測量士補は、測量士の指示に従い、正確かつ効率的に作業を進める必要があります。測量現場は屋外であることが多く、天候や地形に左右されることも少なくありません。そのため、体力や忍耐力も必要とされます。
測量士補としての経験を積むことで、測量に関する実践的な知識や技術を習得し、測量士へのステップアップを目指すことができます。
項目 | 測量士 | 測量士補 |
---|---|---|
役割 | 測量業務の監督者 | 測量士の補助者 |
業務内容 | 測量計画の立案・実施・成果の検定など | 測量機器の操作・データ収集・簡単な計算など |
資格取得 | 国家試験に合格する必要がある | 国家試験に合格する必要がある |
求められるスキル | 測量に関する高度な専門知識と技術、監督能力 | 測量に関する基礎的な知識と技術、測量機器の操作能力 |
測量士と測量士補の資格について
測量士と測量士補は、どちらも測量に関する国家資格ですが、その役割や受験資格、試験内容には違いがあります。
それぞれの資格試験の詳細について、費用や内容、合格率、難易度といった観点から詳しく見ていきましょう。
「測量士」の試験の費用・内容・合格率・難易度
測量士試験は、国土地理院が実施しています。
- 受験費用 4,250円(電子申請の場合 4,200円)
- 試験日程 年に1回 午前10時〜午後4時まで
- 試験科目
- [1]測量に関する法規及びこれに関連する国際条約
- [2]多角測量、汎地球測位システム測量、水準測量
- [3]地形測量、写真測量、地図編集、地理情報システム
- [4]応用測量
※ 上記の各専門科目に関連して、技術者として測量業務に従事する上で求められる知識(技術者倫理、測量の基準、基礎的数学等)や三次元点群測量についても出題します。
合格点:午前の点数が450点以上で、かつ午前と午後の点数の合計が910点以上の者が合格となります。
合格率:例年10%前後
難易度:高め
過去問をよく研究し、実践的な演習を繰り返すことが重要です。より詳しい情報は、国土交通省 国土地理院のウェブサイトをご覧ください。
「測量士補」の試験の費用・内容・合格率・難易度
測量士補試験も、国土地理院が実施しています。こちらも年に1回実施されます。
- 受験費用 2.850円(電子申請の場合 2,800円)
- 試験日程 年に1回 午後1時30分〜午後4時まで
- 試験科目
- [1]測量に関する法規
- [2]多角測量、汎地球測位システム測量、水準測量
- [3]地形測量、写真測量、地図編集
- [4]応用測量
※ 上記の各専門科目に関連して技術者として測量業務に従事する上で求められる知識(技術者倫理、測量の基準、基礎的数学等)や三次元点群測量についても出題します。
合格点:450点以上
合格率:過去5年で約30%前後
難易度:低め
測量士試験と比較すると、やや易しいと言えます。ただし、油断は禁物です。基礎知識をしっかりと理解し、計算問題や作図問題を正確に解けるように練習しておく必要があります。こちらも詳細は、国土交通省 国土地理院のウェブサイトで確認することができます。
測量士と測量士補になるための勉強時間
測量士と測量士補の資格取得を目指す方にとって、どれくらいの勉強時間を確保すれば良いのでしょうか。
資格試験の難易度や個人の学習スタイルによって必要な勉強時間は大きく異なりますが、ここでは一般的な目安と効率的な学習方法について解説します。
「測量士」取得までにかかる時間
測量士の資格取得にかかる勉強時間は、目安として300~500時間程度と言われています。
既に測量士補の資格を保有している方や、測量の実務経験が豊富な方であれば、比較的短い時間で合格できる可能性があります。
一方で、測量に関する知識がゼロの状態からスタートする場合は、より多くの学習時間が必要となるでしょう。特に、数学や物理などの基礎知識が不足している場合は、これらの分野の復習にも時間を割く必要があります。
効率的な学習方法としては、過去問を繰り返し解くこと、参考書や問題集を活用して弱点分野を重点的に学習すること、そして、模擬試験を受験して実力チェックを行うことなどが挙げられます。
また、大学や専門学校の講座を受講したり、オンライン学習サービスを利用するのも効果的です。国土地理院のウェブサイトで公開されている「測量士・測量補士試験の試験問題及び解答例」も参考にしましょう。
学習方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
独学 | 費用を抑えられる、自分のペースで学習できる | モチベーション維持が難しい、疑問点を解決しにくい |
通信講座 | 体系的に学べる、質問できる環境がある | 費用がかかる、学習スケジュールに縛られる |
通学講座 | 講師から直接指導を受けられる、他の受講生と交流できる | 費用がかかる、通学時間がかかる |
「測量士補」取得までにかかる時間
測量士補の資格取得にかかる勉強時間は、目安として200~300時間程度と言われています。
測量士試験と比較すると、出題範囲が狭く、難易度もやや低いため、必要な勉強時間は少なくなります。ただし、測量の基本的な知識や計算能力はしっかりと身につけておく必要があります。
測量士補試験の対策としては、過去問を徹底的に分析し、出題傾向を把握することが重要です。また、参考書や問題集を活用して、測量に関する用語や公式を確実に理解しましょう。さらに、電卓の使用に慣れておくことも大切です。
測量士補試験では、電卓を用いた計算問題が出題されるため、日頃から電卓を使って計算練習を行うようにしましょう。
学習項目 | おすすめ学習方法 | ポイント |
---|---|---|
測量に関する法規 | 参考書、過去問 | 用語の定義を正確に理解する |
測量計算 | 問題集、電卓練習 | 公式を理解し、正確に計算できるようになる |
測量機器の操作 | 実習、動画教材 | 機器の名称や使い方を覚える |
測量士補から測量士へのステップアップも可能
測量士補の資格を取得後、さらなるキャリアアップを目指し、測量士の資格取得を目指す方も多いでしょう。
測量士補から測量士へステップアップするための具体的な方法を以下で詳しく解説します。
測量士補から測量士へステップアップ方法
測量士補から測量士になるには、大きく分けて以下の方法があります。自分に合った方法を選び、計画的に資格取得を目指しましょう。
1,まずは測量士補の資格を取得
測量士を目指す上で、測量士補の資格は必須です。まずは測量士補試験に合格し、資格を取得しましょう。
2,次に以下のどれかで測量士の資格を取得
測量士補の資格取得後、以下のいずれかの条件を満たすことで、測量士の受験資格が得られます。
方法
- 測量士補の資格取得後、実務経験を2年積む
- 文部科学大臣認定の学校を卒業し、測量士補の資格を取得
- 大学卒業で1年、短大・高専卒業で3年以上の実務経験を積む
- 専門高校で「測量士補」の資格を取得し、特定の専門学校で1年学ぶ
測量士の試験は、測量士補の試験よりも難易度が高いため、十分な準備が必要です。過去問や参考書を活用し、計画的に学習を進めましょう。
測量士補から測量士へのステップアップは、キャリアアップだけでなく、収入アップにも繋がります。将来を見据え、ぜひ「測量士」の資格取得を目指しましょう!

まとめ
この記事では、測量士と測量士補の違いや資格試験の概要、取得するまでの過程について紹介しました。
測量士と測量士補は、どちらも土地や建物の測量を行う専門家ですが、業務範囲や責任に違いがあります。
「測量士」は、測量計画の立案や最終的な責任を負うのに対し、「測量士補」は測量士の指示の下で実務を行います。
資格試験はどちらも筆記試験で、測量士の方が難易度が高く、合格率も低いことがわかります。勉強時間は、個人の学習経験や能力によって異なりますが、「測量士」は数ヶ月から1年以上、「測量士補」は数週間から数ヶ月程度かかることを頭に入れておくとよいでしょう。
「測量士」を目指す方は、「測量士補」の資格取得後、実務経験を2年積む、あるいは特定の大学や専門学校を卒業することで、測量士補から測量士へステップアップすることも可能です。
そのため、測量士を目指す方は、まず測量士補の資格取得を目指し、その後、実務経験を積む、あるいは学業を続けるという道筋が一般的です。
測量士と測量士補は、正確な測量を行う業務であるため、安全な建物やインフラ整備に不可欠な存在であり、建設業界や不動産業界において重要な役割を担っています。
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