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People 社員コラム 海洋建設の工法・技術

桟橋工事とは?種類・施工手順・補修までわかりやすく解説

桟橋工事とは、海や河川に設置される桟橋の築造・補修・維持管理などを行う海洋土木工事です。

一般的な杭式桟橋では、鋼管杭を海底へ打ち込み、その上に床版や係留設備を設置して、船舶の接岸や物流を支えます。港湾物流や離島航路を支える重要インフラとして、日本各地で施工されています。

港や河川沿いで見かける「桟橋(さんばし)」は、船を安全に着けたり、人や荷物を運んだりするために欠かせない海洋構造物です。

しかし、「桟橋工事」と聞いても、

  • どんな種類があるのか
  • どのように施工されるのか
  • 古くなったらどう補修するのか

まで詳しく知る機会は少ないのではないでしょうか。

この記事では、桟橋の基本的な仕組みから、施工の流れ、補修工事、必要な資格まで、桟橋工事の全体像を初心者にもわかりやすく解説します。

桟橋とはどんな構造物か

桟橋とはどんな構造物か

桟橋は、船舶の接岸や人・貨物の移動を支えるために造られる代表的な海洋構造物です。

桟橋の定義と役割

桟橋は、海・河川・湖などの水辺から水上へ突き出す形で設置されることよって船舶との接続を可能にする施設です。

主に、船舶の接岸や離岸、人の乗り降り、貨物の積み下ろしなどを目的として造られます。
構造としては、

  • 人や車が通る「床版(しょうばん)」や「桁(けた)」といった上部構造
  • それを海中で支える杭や橋脚などの下部構造

によって成り立っています。

桟橋は用途によって、大きく3つに分けられます。

  • 旅客用桟橋
    フェリーターミナルや離島航路など、人が乗り降りするための桟橋です。
  • 貨物用桟橋
    コンテナや大型貨物を積み下ろしするための大型桟橋です。
  • 作業用桟橋
    海洋工事や調査の際に、作業スペースとして一時的に設置される桟橋です。

このように桟橋は、「陸と船をつなぐ重要な接点」として、港湾物流や海上交通を支えています。

岸壁との違い

桟橋と岸壁はどちらも船舶が利用する港湾施設ですが、構造や特徴が大きく異なります。

岸壁は、海岸線に沿って陸地を整備して造る構造物で、背後に広い荷さばきスペースを確保しやすい特徴があります。
一方で桟橋は、陸から沖へ向かって突き出す構造です。
港によっては、水深が浅く大型船が岸壁まで近づけないケースがあります。
その場合、沖側まで桟橋を伸ばすことで、深い水深を利用しながら船舶を接岸できるようになります。
また、陸地を大規模に埋め立てる必要がないため、限られた土地でも整備しやすい特徴があります。

そのため桟橋には、

  • 限られた土地でも深い水深を利用しやすい
  • 水の流れを妨げにくい
  • 波や潮流の影響を受けにくい

といったメリットがあります。

特に、地形条件が限られる港湾や、水深を確保したい大型船舶向けの施設では、桟橋構造が採用されるケースが多くあります。
そのため、港の地形や利用目的、船舶の大きさなどに応じて、岸壁と桟橋は使い分けられています。

桟橋の種類

桟橋には、設置場所や用途に応じてさまざまな構造形式があります。

杭式桟橋

杭式桟橋は、海底へ杭を打ち込んで支える最も一般的な桟橋構造です。

鋼管杭(こうかんぐい)やコンクリート杭を海底に打ち込み、その上に桁や床版を設置する構造で、多くの港湾で採用されています。
杭式桟橋の特徴は、

  • 施工実績が多い
  • コストを抑えやすい
  • 軟弱地盤にも対応しやすい
  • 深い水深でも施工しやすい

といった点です。
旅客桟橋から作業用の仮設桟橋まで、幅広い用途で利用されています。

円筒式・橋脚式

大型港湾では、強度や施工条件に応じて円筒式や橋脚式桟橋が採用されます。

円筒式桟橋

円筒式桟橋は、波や地震など横方向の力に強い大型桟橋です。

円筒式桟橋は、大型の鋼管やコンクリート製の円筒構造を使って支える形式です。波や地震などの横からの力に強く、大型船舶が利用する重要港湾で採用されることが多いのが特徴です。
ただし、大型クレーン船などが必要になるため、施工コストは高くなる傾向があります。

橋脚式桟橋

橋脚式桟橋は、桟橋下の空間を広く確保しやすい構造形式です。

橋脚式桟橋は、橋の橋脚のような構造物を複数設置し、その上に上部工を架ける形式です。
桟橋下の空間を広く確保できるため、

  • 潮流への影響を抑えたい場所
  • 漁業活動と共存する港

などで採用されるケースがあります。

浮桟橋(ポンツーン式)

浮桟橋は、水位変化へ柔軟に対応できる浮体式の桟橋です。

潮の満ち引きによる水位変化に追従できるため、

  • マリーナ
  • 漁港
  • 小型船舶用桟橋

などで広く使われています。
耐荷重は杭式より小さいものの、短期間で設置しやすい点がメリットです。

桟橋工事の施工手順

桟橋工事は、測量から杭打設、上部工施工まで複数の工程を経て完成します。

STEP1:測量・位置出し

桟橋工事では、施工精度を確保するために最初の測量作業が重要になります。

設計図をもとに、

  • 杭を打つ位置
  • 作業船の配置
  • 構造物の中心位置

などを正確に決めていきます。
海上では、

  • 潮の満ち引き
  • 波による揺れ
  • 潮流

などの影響があるため、陸上工事以上に高い測量精度が求められます。

STEP2:鋼管杭の打設

一般的な杭式桟橋では、鋼管杭の打設は、桟橋全体を支える土台をつくる重要な工程です。

位置出しが終わると、鋼管杭を海底へ打ち込みます。
使用される代表的な工法は、

  • バイブロハンマー工法
  • ディーゼルハンマー工法

などです。
地盤条件によって施工方法を変えながら、杭を設計深度まで打設していきます。
施工中は、

  • 杭がまっすぐ入っているか
  • 必要な支持力が確保できているか

を細かく確認しながら進めます。

海上では波や潮流によって作業船が常に揺れるため、杭芯のズレを数センチ単位で管理しながら施工を行います。
特に大型桟橋では、わずかなズレが上部工全体に影響するため、高い施工精度が求められます。

STEP3:上部工(桁・床版)の設置

杭工事の完了後は、桟橋として機能する上部構造を施工していきます。

大型クレーン船を使用して部材をつり込み、

  • 桁の固定
  • 床版の設置
  • コンクリート施工

を行います。
その後、

  • 防舷材(船を守る緩衝材)
  • ボラード(船を係留する設備)

などの付帯設備を取り付けます。
桟橋は大きな荷重を受ける構造物のため、コンクリートの品質管理や強度確認も厳密に行われます。

STEP4:完成・検査

施工後は、安全性や品質を確認するための完成検査が行われます。

主な検査内容は、

  • 寸法や高さの確認
  • コンクリート強度試験
  • 防舷材やボラードの機能確認
  • 塗装状態の確認

などです。
海洋構造物は潮位の影響を受けるため、潮の時間に合わせて検査を行うケースもあります。
検査に合格すると、桟橋は正式に供用開始となります。

桟橋の補修工事

桟橋の補修工事

海上にある桟橋は劣化しやすいため、定期的な補修や補強工事が欠かせません。

塩害・腐食による劣化

海にある桟橋は、常に塩分や波の影響を受け鋼材やコンクリートを劣化させる大きな原因になっています。

特に鋼管杭は、水面付近で腐食が進みやすく、長年使用することで鋼材が薄くなっていきます。
また、コンクリート内部に塩分が入り込むと、鉄筋がサビて膨張し、

  • ひび割れ
  • コンクリートの剥がれ
  • 鉄筋露出

などの劣化が発生します。
こうした劣化を放置すると、桟橋全体の強度低下につながるため、定期的な点検と補修が欠かせません。

防食工事・深梁工法による補強

桟橋の補修では、「腐食を防ぐ工事」と「構造を補強する工事」を組み合わせて行います。

鋼管杭では、電気防食工法や被覆防食工法が代表的です。
電気防食工法は電流を利用して鋼材の腐食を抑える方法で、被覆防食工法は油系や樹脂系の被覆材を使用して空気を遮断し腐食を抑える方法です。
新設時だけでなく補修工事でも広く採用されています。
また、腐食した杭に鋼板などを取り付け補強する補修工法もよく行われます。

コンクリート部分では、

  • ひび割れ補修
  • 欠損部の断面修復
  • 表面保護材の施工

などを行い、劣化の進行を防ぎます。
さらに、大規模な補強工事として「深梁工法(ふかばりこうほう)」が採用されることもあります。
深梁工法は、既存の桟橋の下に大型の補強梁を追加し、荷重を分散させる工法です。
施設を使いながら施工できるため、稼働中の港湾施設でも導入しやすい点が特徴です。

深梁工法による補強

深梁工法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧下さい。
深梁工法とはどんな工法?メリット、デメリットをご紹介!

桟橋工事に関わる仕事と資格

桟橋工事では、海上施工に対応できる専門技術者や資格が重要になります。

必要な資格(潜水士・土木施工管理技士)

桟橋工事は海上・水中で行われるため、専門資格が重要になります。

潜水士

代表的なのが「潜水士」の国家資格です。

潜水士は、

  • 海底調査
  • 水中点検
  • 水中溶接
  • 防食設備の設置

など、水中作業全般を担当します。
海洋土木では欠かせない重要な職種です。

潜水士について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
電気防食工事と潜水士

土木施工管理技士

施工全体を管理する資格が「土木施工管理技士」です。

施工管理者は、

  • 工程管理
  • 施工管理
  • 品質管理
  • 安全管理

などを担当し、工事全体を円滑に進める役割を担います。
海洋工事では、通常の土木知識だけでなく、

  • 潮汐
  • 波浪
  • 海象条件

など海特有の知識も必要になります。

東日本海洋建設での働き方

東日本海洋建設では、港湾・海洋構造物の防食工事や維持管理工事を通じて、海洋土木の専門技術を学ぶことができます。

現場では、

  • 潜水調査
  • 防食工事
  • 港湾構造物補修
  • 完成後の維持管理

などに携わり、海洋インフラの長寿命化を支えています。
海洋土木は、現場ごとに海の状況や構造物の劣化状況が異なるため、経験を積むほど専門技術が身につく仕事です。
また、未経験から潜水士資格を取得し、活躍している社員も在籍しています。

まとめ

桟橋の維持管理や補修には、潜水調査・防食工事・構造物補修など、海洋土木ならではの専門技術が欠かせません。

東日本海洋建設では、未経験から資格取得を目指しながら、海洋インフラを支える技術を身につけられる環境を整えています。

海や港を支える仕事に興味がある方、自分の技術を社会インフラに活かしたい方は、ぜひ東日本海洋建設の求人をご覧ください。
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