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アセチレンガスの特徴とは?種類や危険性について紹介

ガス溶接や金属を切断する際によく使用される“アセチレンガス”とはどのようなものなのでしょうか。この記事では、アセチレンガスの特性や危険性について解説します。

なお、アセチレンガスを使用するために必要な資格「ガス溶接技術者」と「ガス溶接主任作業者」については「ガス溶接に必要な資格と注意点」を御覧ください。

アセチレンガスとは?

アセチレンガスは、無色透明のガスで、エーテル臭といわれる特有のにおいがあります。このガスは炭化水素の一種で、エチレンやメタン等と同じく有機化合物に分類されます。アセチレンガスの最も顕著な特徴は、炎の温度が高いことです。そのため、溶接や切断作業で金属を溶かし、加工するのに利用されます。

アセチレンガスの使用用途

金属の切断状況
金属の切断状況
半分まで切断
半分まで切断

金属の溶接・切断におけるアセチレンガスの使用

アセチレンの炎は他のガスと比較して温度が高いため、特に厚い金属や高い熱を必要とする作業に適しています。そのため、建設工事、造船、自動車製造などの分野で広く利用されています。

芸術的な金属加工におけるアセチレンガスの活用

芸術的な金属加工にも活用されています。金属を繊細に加工し、複雑な形状や細かなディテールを作り出すことが可能です。彫刻家や金属工芸家たちは、この高い炎の温度を利用して、独特の芸術作品を創造します。ジュエリー製作、彫刻、装飾品製作など、精密な金属加工が求められる分野で、特に重宝されています。

科学研究・実験でのアセチレンガスの利用

アセチレンガスは、科学研究や実験室での重要な熱源としても利用されます。実験室での多様な化学反応を促進し、研究の進行を助けます。特に、反応加熱や特定の化学合成において、その高い炎の温度が重要な役割を果たしています。

高純度アセチレンの工業的応用

高純度アセチレンは、精製されたアセチレンガスを容器に充填したもので、特に半導体製造や新素材開発において重要です。純度が非常に高いため、これらの高度なアプリケーションにおいて優れた性能を発揮し、半導体業界や新素材開発における技術革新を推進しています。

原子吸光分析におけるアセチレンガスの役割

原子吸光分析においても研究や品質管理のための重要なツールです。アセチレン炎は、分析に必要な高温を提供し、精密な測定を可能にします。この分析方法は、金属の濃度を正確に測定するために使用され、環境モニタリング、医薬品の品質管理、食品の安全性評価など、多岐にわたる分野で活用されています。

その他の工業用途でのアセチレンの使用

カーボンブラック製造などの工業プロセスにも使用されます。カーボンブラックはタイヤやプラスチック製品、インクなどに広く使用される重要な材料です。また、化学合成プロセスにおいても、アセチレンガスは多くの有機化合物の合成に不可欠な役割を果たしています。

これらの用途からもわかるように、アセチレンガスは多目的で利用でき、その使用は工業的なアプリケーションに限定されません。高温の特性を活かし、多くの分野でその価値を発揮しています。溶接技術者だけでなく、科学者、芸術家、産業技術者など、多くの専門家にとって、アセチレンガスは不可欠なものといえるでしょう。

アセチレンガスの種類と特長

アセチレンガスの種類とその特長について解説します。アセチレンガスは、その使用法や安全性の面から、供給の形態において多様性が見られます。以下は、アセチレンガスの主な種類と特徴です。

溶解アセチレン

炭化カルシウムと水の反応によって生成されるアセチレンガスです。特に金属の溶接や溶断加工に適しています。

高純度アセチレン

これは精製されたアセチレンガスで、半導体の炭素原料や硬質炭素膜の生成原料、さらにはカーボンナノチューブなどの新素材の原料ガスとして使用されます。特定の化学的または工業的用途に適しています。

アセチレン容器の特長

アセチレンガスは他のガスと異なり不安定なため、特殊な容器に充填されます。アセチレン容器は内部に多孔質物質(ケイ酸カルシウム固形物)が詰められ、アセトンまたはDMF(ジメチルホルムアミド)という溶剤に浸されています。これにより、アセチレンを加圧溶解し、安全に取り扱うことが可能になります。

アセチレンガスの危険性について

アセチレンガスは、高い可燃性を持つため、非常に危険なガスです。空気や酸素と混ざると爆発的な反応を示す可能性があり、特に酸素がない環境でも、自発的に分解して極めて危険な爆発につながることがあるため、使用する際は適切な通気とガス漏れのチェックが必要です。

アセチレンガスのもうひとつの重要な特徴は、不安定性です。特定の圧力が加わることで不安定になり、わずかな刺激や衝撃でも爆発する可能性が高まります。一般的な工業ガスのように中空容器に圧縮して充填することは非常に危険なので避けましょう。

また、アセチレンガスを扱う際は、適切な保管方法の知識が必要です。特別に設計された容器を使用し、直射日光や高温を避けるように保管することが推奨されます。保管場所には十分な換気があり、火花などの発生する場所から離れた場所であることが重要となります。

「ガス溶接技能者」の資格が必要

ガス溶接技能者としてアセチレンガスを使用するためには、特定の資格が必要です。日本では、「ガス溶接技術者」や「ガス溶接主任作業者」の資格がこれに該当します。これらの資格を取得するためには、専門的な訓練と試験を受ける必要があります。

「ガス溶接技術者」の講習内容

ガス溶接作業で使用する設備の構造や取り扱い方法、可燃性ガスおよび酸素に関する知識、関係法令などが含まれています。講習を通じて、溶接技術者は作業に必要な基本的な技術と知識を身に付けます。

「ガス溶接主任作業者」の試験

学科のみで、実技試験はありません。試験に合格し免許を受け取ることで資格が与えられます。受験資格には特に制限がないものの、免許を受け取るためには、特定の条件を満たしている必要があります。例えば、ガス溶接技能者の講習を受けた後の3年以上の業務経験、または大学や高専の溶接過程を修了し、1年以上の実務経験が必要です。詳しくは、過去記事「ガス溶接に必要な資格と注意点」をご確認ください。

まとめ

アセチレンガスは、溶接や切断作業に広く使用されるガスですが、その取り扱いには特別な注意が必要です。労働安全衛生法施行令により、アセチレン溶接装置またはガス集合溶接装置を使用して溶接を行う際は、管理責任者としてガス溶接主任作業者が現場を監督することが義務付けられています。このガスの危険性を正しく理解して適切に扱うことは、周囲の安全を守るために重要であることを把握しておきましょう。

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