2024-02-13
海洋土木で使う水中カメラを知っていますか?
水中カメラのことを知っていますか?ダイビングなどで使われる一般的なものから、海洋土木工事などで使われる人の潜れない範囲にまで潜って撮影できる水中カメラまで、さまざまに存在しています。
ここでは、海洋土木で使われる水中カメラを詳しく説明していきます。人の手になり代わって工事の助けをする水中カメラが、どんな活躍をしているかご紹介します。
この記事では以下のような内容をご紹介しています。
水中カメラとは?
水中カメラとは、水中での撮影に特化したカメラです。静止画だけでなく動画の撮影も可能で、一部のモデルでは遠隔操作も可能です。高い水圧、水の透明度や低照度といった厳しい水中環境に耐えうるように設計されています。
海洋土木工事では、海底の構造物の点検、生物の観察、水中での建設作業のモニタリングなど、目に見えない水中世界を可視化し、研究や作業の精度を高めます。水中の構造物や自然環境を直接目で見ることが困難な状況下でも、高画質の映像を通じて詳細な情報を得られます。
海洋土木とは?
海洋土木とは、人間が海や河川といった水域において行う、港湾、海岸、河川の開発や保全に関わる工事全般を指します。この分野は、海上交通の安全性の確保、水産業の支援、防災といった重要な社会基盤の整備に貢献しています。
具体的には、港湾の建設や拡張、防波堤の設置、海底トンネルや橋の建造、さらには海岸侵食の防止など、多岐にわたる仕事が海洋土木の仕事に含まれます。
水中カメラと海洋土木
海洋土木工事の現場で水中カメラが使われるシチュエーションには、水中土木工事、水中調査工事、保守・点検・修繕といった内容があります。
水中土木工事
- 海底ケーブル工事
海底ケーブル工事では、老朽化したケーブルを張り替え、撤去、埋没、防護などを行っています。 - 水中型枠組立解体
水中での型枠の組み立て・設置・解体作業をしています。海の状況で波が高くなったりと環境が変わる中の作業になるので、安全に留意しながら行っています。 - 水中溶接・切断
水中の溶接では、水中の鋼材への取り付けや古くなった鋼材の撤去も行います。
水中調査工事
- 水中テレビ撮影
船の底、水中の構造物の撮影をします。水中にある構造物の腐食状況等を確認するためです。 - 海底調査簡易測量
海洋土木の調査のひとつである海底の深淵の測量などを行います。 - 保守・点検・修繕
様々な水中の構造物の保守・点検・修繕を行います。この作業が、構造物や水中設備の寿命を伸ばすことに繋がります。
実際の現場での水中カメラの応用例は、上記以外にも海洋土木工事において多岐にわたります。港湾施設や海底トンネル、橋脚の定期的な点検以外や、防波堤の損傷評価、埋め立て地の堤防の確認、海底土砂の移動調査などにも用いられます。
水中カメラの種類・性能
水中カメラは、主に産業用や研究用に特化した高性能な機種から、一般消費者向けの手軽に使えるモデルまで幅広い種類があります。
これらは水深や耐圧性能、搭載されたカメラの解像度、操作性などによって特徴が異なり、用途に応じて選定する必要があります。
また、オプションとしてソナーや水中音響測位装置などを搭載することで、さらに機能を拡張し、より詳細な水中調査や撮影が可能です。
水中カメラの性能は、その使用目的や使用環境によって異なりますが、海洋土木や海洋土木工事で使用される水中カメラは特に高い性能が求められます。主な性能指標には、耐圧性、画質、視野角、操作性、耐久性があります。以下にカメラの種類を挙げます。
超小型カメラ
超小型カメラは、海洋開発の長年の経験から生まれた、耐久性に優れた樹脂一体成型のポータブルカメラです。低照度でも高い視認性を誇り、水産・土木・港湾など多岐にわたる業種での調査に適しています。LED照明搭載モデルもあり、狭い場所の観察にも最適です。
ズームカメラ
ズームカメラは、小型ながら高解像度と高倍率ズーム機能を備え、水中の詳細な観察が可能です。水産・土木・港湾関連の調査に幅広く利用され、特殊仕様の設計・製作も対応可能です。各種水中機器に取り付け可能で、豊富な情報量を提供します。
デジタルスチルカメラ
デジタルスチルカメラは、大水深7000mに耐える高耐圧設計で、遠隔操作によるズーム、フォーカス、アイリス調整が可能です。撮影した画像をリアルタイムで映像出力し、海底油田調査や希少海洋生物の撮影など、深海環境での観察に適しています。
HDTVカメラ 7000m
HDTVカメラは、7000mの深海に対応する高耐圧カメラで、ハイビジョン画質の映像をリアルタイムで確認しながら操作が可能です。光学10倍ズームやマニュアル・オートフォーカス切替が特徴で、高解像度での深海観察が行えます。
HDTVパンチルトカメラ 11000m
世界最深部のマリアナ海溝でも使用可能な11000m対応のHDTVパンチルトカメラ。高画質映像を提供し、リモートでの細かなカメラ操作が可能です。左右上下の動きと光学10倍ズームにより、深海でも詳細な観察を実現します。
パン・チルト付吊り下げ式カメラ
パン・チルト機能を備えた吊り下げ式カメラは、水平360度エンドレスの回転で広範囲の観測が可能。最大100m(オプションで300m)の水深に対応し、ハイビジョン仕様も選択できます。広い範囲の水中環境を容易に調査できる便利なツールです。
ダイバー用ズームカメラ
ダイバー用ズームカメラは、プロダイバー向けに設計された小型軽量カメラです。撮影した映像をリアルタイムで船上で確認可能であり、水産・土木・港湾関連の調査に最適です。ランプとカメラの分離により、多目的な水中観測が行えます。
パン・チルト ズームカメラ
パン・チルト機能とズーム機能を備えたカメラで、据え置き型として広範囲を一台で観測可能です。海中観察や潜水訓練プール監視に適しており、樹脂製ケースにより海水中での長期観測も可能です。
特定の条件下での使用を考慮し、LED照明搭載モデルや低照度での撮影が可能なカメラを選ぶことも重要です。
定点観測カメラ
定点観測用に設計されたカメラで、パン・チルト機能により広範囲の観察が可能です。樹脂製で海中に長期間設置でき、水族館や海中公園などでの沖合い観察に最適です。ケーブルレスで設置・取付けが容易に行えます。
プールカメラ
スイミングプールや潜水訓練プール専用の水中撮影カメラ。ズームとカメラ駆動操作が可能で、簡易取付治具により壁面工事なしで設置できます。訓練や競技の分析に役立つ高解像度映像を提供します。
浄水場用カメラ(フロッグ観測)
浄水場や潜水訓練プールでの使用に適したパン・チルト機能付きズームカメラ。広範囲を一台で観察でき、樹脂製ケースは海水中での長期使用に耐えます。水中ワイパー搭載で、視界を確保しながらの観測が可能です。
まとめ
海洋土木工事における水中カメラの使用は、作業の安全性と効率性を大幅に向上させます。その使用意義は、水中の構造物や自然環境を直接目で見ることが困難な状況下でも、高画質の映像を通じて詳細な情報を得られる点にあります。
これを実現するためには、適切な水中カメラの選定から、専門的な操作技術、さらには撮影されたデータの分析技術まで、幅広い知識と技術が必要です。実際の現場での応用例を通じて、その多様な利用価値が実証されており、海洋土木工事の未来を支える重要な技術といえるでしょう。
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