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People 社員コラム 海洋建設のしごと

海洋建設が支えるクルーズ船乗り場の桟橋構造の海上構造物の“吊り足場”

近年、増加するクルーズ船観光。その玄関口となるクルーズ船乗り場の建設には、高度な海洋土木技術が欠かせないということをご存知ですか?

クルーズ船乗り場は、観光と物流のハブ役として重要な役割を担っておりますが、その建設には特殊な環境への対応が求められます。

そこで、欠かせないのが海洋建設の技術「吊り足場」です。

この記事では、クルーズ船乗り場の役割から、海上の構造物建設に「吊り足場」が選ばれる理由や、実際の施工における特殊な技術まで解説します。

クルーズ船観光を支える縁の下の力持ちである海洋建設の重要性と「吊り足場」の役割について深く理解できると共に、日本の海洋建設技術の高さも実感していただけることでしょう。

※「吊り足場」の資格については「吊り足場とは?構造の安全対策と一般の足場との違い」をご覧ください。

クルーズ船乗り場って何?

クルーズ船乗り場は、文字通りクルーズ船が発着する港湾施設の一部です。単なる船の停泊場所ではなく、旅客や貨物の円滑な移動を支える重要な役割を担っています。近年、クルーズ観光の人気が高まるにつれて、その重要性はますます増しています。

観光と物流のパイプとなる拠点

クルーズ船乗り場は、多くの観光客にとって旅の玄関口となります。豪華客船から降り立ち、新たな街を探索するワクワク感を与えてくれる場所です。

また、クルーズ船は旅客だけでなく、食料品や日用品といった貨物も運んでいます。クルーズ船乗り場は、これらの物流を支えるパイプ役としての役割も担っているのです。特に離島などでは、クルーズ船が生活物資を運ぶ重要な輸送手段となっています。

クルーズ船乗り場が港湾インフラの中でも特に重要な理由

港湾インフラは、貿易や観光を支える重要な社会基盤です。

その中でも、クルーズ船乗り場は近年特に注目されています。なぜなら、クルーズ観光は成長産業であり、経済効果も大きいからです。

さらに、クルーズ船乗り場は、その地域の観光イメージを左右する重要なものでもあります。快適で魅力的なクルーズ船乗り場は、観光客の満足度を高め、リピーターの獲得にもつながります。

機能説明
旅客乗降乗客が安全かつスムーズに乗降できるための設備(ボーディングブリッジなど)
貨物取扱貨物の積み下ろしを行うための施設(クレーンなど)
CIQ施設出入国管理、税関検査、検疫を行うための施設
待合施設旅客が快適に待機できるための施設(待合室、レストランなど)

クルーズ船乗り場の機能は多岐に渡り、これらの機能が円滑に連携することで旅客と貨物の効率的な移動ができるようになります。これらの機能を維持・向上させるためにも、定期的なメンテナンスや改修工事が必要となります。

なぜ「吊り足場」が選ばれるのか?海洋建設における理由

桟橋における「吊り足場」とは、桟橋の天井や梁にアンカーを設置しチェーンやワイヤーなどを用いて設置する"仮設の作業床"のことです。

そのため、桟橋構造の海上構造物の建設においては「吊り足場」が必要不可欠となります。

ここでは「吊り足場」と「地上足場」において、それぞれどのような違いやメリットがあるのか見ていきましょう。

地上足場と「吊り足場」の比較とメリット

「地上足場」は地面に直接設置するため、安定性に優れています

しかし、海上構造物には、そもそも地面が存在しない、あるいは設置が困難なケースがほとんどです。そこで「吊り足場がその真価を発揮します。

項目地上足場吊り足場
設置場所地面桟橋構造の海上構造物、あるいは地面に足場を設置出来ない箇所
安定性高い海上状況に左右される
施工性設置場所の制約が大きい比較的自由度が高い、施工の効率化
安全性高い適切な設計・施工が必須

このように、吊り足場は地面の状態に左右されず、桟橋構造の海上構造物に直接設置できるという大きなメリットがあります。また、足場の移動や高さ調整も比較的容易に行えるため、施工の効率化にもつながります。

海上構造物に適した施工性と安全性

吊り足場は、海上という特殊な環境での作業を安全かつ効率的に行うために、様々な工夫が凝らされています。

例えば、揺れを軽減するためのダンパーや、落下のリスクを低減するための安全ネットなどが設置されます。また、作業員の安全確保のため、ライフジャケットの着用安全帯の使用は必須です。

さらに、天候や海象の急変にも対応できるよう、気象情報の確認避難経路の確保なども徹底されます。

吊り足場の設計・施工においては、安全性と施工性を両立させる高度な技術が求められます。専門の業者による綿密な計画と経験豊富な作業員による確実な施工が、安全で効率的な海上工事を成功させる上で不可欠となります。

クルーズ船乗り場の桟橋構造の海上構造物における補修工事の特殊性

クルーズ船乗り場という特殊な環境下での吊り足場を使用しての補修工事は、一般的な陸上での補修工事とは異なる様々な課題が存在します。その中でも特に重要なのは、自然環境への配慮と安全性の確保です。以下で詳しく見ていきましょう。

潮の干満や波浪を考慮した設計とは

海上工事における吊り足場の設計では、潮の干満による水位変動や波浪の影響を綿密に考慮する必要があります。

波浪により足場が損傷し、満潮時には足場の高さが低いとが水没する可能性があります。また、強風や台風などによる高波にも耐えうる構造でなければなりません。

具体的には、以下のような対策が重要となります。

対策詳細
水位変動への対応干満差を考慮した足場の高さ設定や、昇降可能な足場の採用
波浪への対応波の影響を受けにくい構造の採用
強風・台風への対応十分な強度を持つ材料の選定、風荷重を考慮した設計

また、リアルタイムの気象・海象データを活用し、刻々と変化する海の状況に合わせた柔軟な施工計画も重要です。

さらに、周辺環境への影響も最小限に抑える必要があります。例えば、海洋生物の生息域への影響を考慮した施工方法の選定や、騒音・振動対策などが求められます。

腐食対策の重要性

海水の飛沫や塩分を含んだ空気への曝露は、金属製の吊り足場を腐食させる大きな要因となります。そのため、防錆処理を施した鋼材を使用したり、定期的な点検・補修を行うなど、適切な腐食対策を行う必要があります。亜鉛メッキや塗装などの防錆処理は足場の寿命を延ばし、安全性を確保する上で重要な役割を果たします。

船舶の航行への配慮

クルーズ船乗り場は、大型船舶が頻繁に発着する場所です。そのため、吊り足場の設置は船舶の航行を妨げないように行う必要があります。航路を確保するための適切な足場配置や、夜間における照明設備の設置など、安全な航行をサポートするための配慮が求められます。

これらを考慮することで、安全かつ円滑なクルーズ船乗り場建設を実現することができます。

東日本海洋建設の施工実績

東日本海洋建設は、長年にわたり培ってきた海洋土木技術と経験を活かし、様々な海洋構造物の建設に携わってきました。

ここでは、その代表的な施工実績である「堂ヶ島マリン遊覧船 船乗り場」の事例をご紹介します。

堂ヶ島マリン遊覧船乗り場

静岡県賀茂郡西伊豆町にある「堂ヶ島マリン遊覧船乗り場」は、景勝地である堂ヶ島の観光に欠かせない重要なインフラです。東日本海洋建設は、この乗り場の建設において、吊り足場を用いた安全かつ効率的な施工を行いました。

堂ヶ島マリン遊覧船乗り場

吊り足場の活用

このプロジェクトでは、海上の限られた作業スペース最大限に活用するため、吊り足場が採用されました。潮の干満や波浪の影響を受けやすい環境下でも、安定した作業環境を確保することができ、工期の短縮と安全性の向上に役立ちました。

地域社会への貢献

「堂ヶ島マリン遊覧船乗り場」の整備は、地域観光の活性化に大きく貢献しています。

まとめ|未来の港湾を支える海洋建設の力

クルーズ船乗り場は、観光と物流のパイプ役として重要な役割を担っています。

その建設には、特殊な環境への対応が求められます。潮の干満や波浪といった自然条件に加え、大型船舶の接岸に耐えうる強固な構造も必要です。そこで活躍するのが、海洋建設の技術と、それに欠かせない「吊り足場」です。

吊り足場は、桟橋構造の海上構造物に適した施工性と安全性を提供します。地上足場と比較して、海面上での作業スペースを確保しやすく、潮位の関係で常時船舶や台船などが入っていけない場所にも施工をする為の作業床を確保すること出来ます。

そのため、効率的な作業と安全性の確保が可能となり、工期短縮やコスト削減にもつながります。また、複雑な形状の構造物にも柔軟に対応できる施工方法になります。

東日本海洋建設では、「堂ヶ島マリン遊覧船乗り場」や「桟橋構造のクルーズ船乗り場」など、数多くの実績を積み重ねてきました。これらの経験と技術力は、未来の港湾開発にも活かされていくでしょう。増え続けるクルーズ船需要に応えるため、そして日本の港湾をより魅力的なものにするために、海洋建設はその重要な役割を担い続けていきます。

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