2023-07-14
「有機溶剤特別教育とは?講習内容と対象業務について紹介」
この記事では以下のような内容をご紹介しています。
有機溶剤とは?
有機溶剤とは、他の物質を溶かす性質を持つ溶剤の総称で、印刷や塗装の現場などで多く使われています。
この有機溶剤には第1種〜第3種までがあり、以下の表のように分類されます。
第1種有機溶剤 |
・1,2-ジクロルエチレン(別名二塩化アセチレン) ・二硫化炭素 |
---|---|
第2種有機溶剤 |
・アセトン ・イソブチルアルコール ・イソプロピルアルコール ・イソペンチルアルコール(別名イソアミルアルコール) ・エチルエーテル ・エチレングリコールモノエチルエーテル(別名セロソルブ) ・エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名セロソルブアセテート) ・エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル(別名ブチルセロソルブ) ・エチレングリコールモノメチルエーテル(別名メチルセロソルブ) ・オルト-ジクロルベンゼン ・キシレン ・クレゾール ・クロルベンゼン ・酢酸イソブチル ・酢酸イソプロピル ・酢酸イソペンチル(別名酢酸イソアミル) ・酢酸エチル ・酢酸ノルマル -ブチル ・酢酸ノルマル -プロピル ・酢酸ノルマル -ペンチル(別名酢酸ノルマル-アミル) ・酢酸メチル ・シクロヘキサノール ・シクロヘキサノン ・N,N-ジメチルホルムアミド ・テトラヒドロフラン ・1,1,1-トリクロルエタン ・トルエン ・ノルマルヘキサン ・1-ブタノール ・2-ブタノール ・メタノール ・メチルエチルケトン ・メチルシクロヘキサノール ・メチルシクロヘキサノン ・メチル-ノルマル -ブチルケトン |
第3種有機溶剤 |
・ガソリン ・コールタールナフサ(ソルベントナフサを含む。) ・石油エーテル ・石油ナフサ ・石油ベンジ ・テレビン油 ・ミネラルスピリット(ミネラルシンナー、ペトロリウムスピリット、ホワイトスピリット及びミネラルターペンを含む。) |
これらの有機溶剤は液体かつ常温ですが、揮発性が高いため、空気に触れると蒸発して有害物質を発します。そのため、近くにいると呼吸や皮膚から人体に取り込まれてしまうリスクがあります。
有機溶剤を取り扱う業務では、基本的に保護用具等で人体へのリスクを防止しておりますが、毒性の認識不足や取扱方法の誤りによる労災が発生していることも少なくありません。
万が一、大量に取り込んでしまった場合は、めまいや失神、呼吸困難を引き起こす可能性があります。そのようなリスクを避けるために、有機溶剤の取扱者は必ず講習を受けたうえで業務に従事する必要があります。
有機溶剤特別教育とは?
有機溶剤特別教育とは、有機溶剤を扱う業務に従事する人が受ける講習のことです。人体に悪影響を及ぼす危険な物質に、十分な注意を払ったうえで取り扱えるよう、労働安全衛生法で定められた基準に則ったカリキュラムが設けられています。
この講習では、主に有機溶剤を扱った作業環境管理や法令等を総合的に学ぶことができます。合格・不合格の概念がないので、講習を受けた後は、すぐに業務に従事することが可能です。
有機溶剤特別教育の講習を受けるとできる業務
有機溶剤特別教育の講習を受けると、塗装業や印刷業、建設業などの多岐にわたる業界で業務に携わることができます。
塗装業
・シンナーやラッカー等を扱う現場業務
印刷業
・有機溶剤含有物を使用した印刷業務
・有機溶剤含有物を用いて⾏う文字の書込みや描画の業務
建設業
・つや出しなどの面加工
・有機溶剤を入れた車や機械の燃料タンクおよびピット内での作業
・有機溶剤を使用した接着業務
このほか、暗きょやマンホール、水管やダクト内部なども対象となります。自身の業務が対象に当てはまるかどうか、確認してみましょう。
有機溶剤特別教育の講習内容
これらの業務に携わるために受講する「有機溶剤特別教育」の講習では、主に有機溶剤の取扱方法や健康被害にあった時の対処方法などを学びます。これらは4つの科目に分かれており、実技はなく、すべて机上での講習を合計6時間かけて受ける形式です。
講習内容
講習内容 | 時間 |
---|---|
作業環境管理 | 90分 |
作業管理 | 60分 |
健康管理 | 90分 |
災害事例及び関係法令 | 120分 |
表の引用:一般財団法人中小建設業特別教育協会
講習は研修センターで受けることができますが、最近では通信教育を実施している団体へ申し込めばWebで受講することも可能です。Web講習の場合は動画を視聴する形式であるため、インターネットが使えるパソコンがあれば、自宅や職場のデスクで受講することが可能です。動画は不明点などがあった際に、繰り返して再生することができるので、しっかり知識を叩き込むことができます。
講習費用
講習費用は、教材費(税込み)で約1万円以内になります。申込先の団体によって異なりますが、Web講習の方が比較的安い傾向にあります。
講習への申し込み方法
講習の申し込みには、有機溶剤特別教育講習を実施している各団体に直接申し込む形です。代表的な団体は以下となります。
団体 | 講習費用(税込) | 受講形式 |
---|---|---|
一般社団法人 CECC建設不動産総合研修センター | 7,700円 | Web |
SAT株式会社 | 8,800円 | Web |
中小建設業特別教育会 | 9,500円 | 研修センター出張 |
これら各団体のホームページにアクセスをして、申し込みフォームから必要事項の入力をすれば申し込み完了です。
有機溶剤特別教育修了後にできること
講習を受けた後は修了証が発行されるので、取得後すぐに有機溶剤取扱業務に携わることができます。修了証は転職の際にも有利になるので、必ず保管しておくようにしましょう。
また、講習を受けるだけでなく、「資格」として持っておきたい方は、修了後に「有機溶剤作業主任者技能講習」という有機溶剤特別教育講習の上位資格を受けることもオススメです。
この資格は、有機溶剤特別教育を受けた人のみが受験可能な資格で、試験に合格すれば「有機溶剤作業主任者」という国家資格を取得することができます。
現場の責任者としてキャリアアップしたい方は、主任者資格まで取得しておくと、どの現場でも有利になることは間違いありません。
まとめ
有機溶剤特別教育の講習は、有機溶剤を安全に扱うための知識が身につくだけでなく、建設・土木業界や塗装業界など、多様な業界で働くうえで重宝されます。
他の専門技術の講習費用よりも安くて必要時間も短いので、従事する業界の資格を取得していきたい人は、まず最初に取っておいても損はないでしょう。
なお、当社では業界未経験の方が入社後に段階的にキャリアが積めるような環境を整えています。有機溶剤特別教育だけでなく、土木施工管理技士や潜水士なども目指せるようにバックアップしています。
未経験でも土木の業界に興味がある方なら、入社後にキャリアアップしていく過程を楽しみながら仕事に携わることができるので、ぜひ採用ページからご応募ください。
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