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ウインチの種類と運転業務特別教育について

ウィンチは、滑車とワイヤーロープの組み合わせにより、重量物の吊り上げや運搬の作業が遠隔で操作できる機械です。海洋土木などの現場で利用されます。

ウインチの選定や運転に関する知識は、現場の生産性向上と安全確保のために重要性を増しています。

この記事では、港湾・海洋土木工事で使用されるウインチの種類と特徴を解説するとともに、ウインチの運転に必要な運転業務特別教育についてご紹介します。

ウィンチとは?

ウィンチとは、重量物を吊り上げたり、引っ張ったりするための巻上装置のことです。建設現場や工事現場、港湾、鉱山、林業、農業、造船所など、さまざまな分野でも使用されています。天井高が低い場所や、吊り荷の真下に入るのが危険な現場などで活躍します。

滑車とワイヤーロープの組み合わせにより、重量物の真上に設置しなくても、任意の方向から遠隔操作で吊り上げや牽引ができます。

重量物の垂直移動だけでなく、水平方向の牽引にも用いられます。また、ウィンチを複数台組み合わせることで、より大きな荷重に対応できます。

港湾・海洋土木工事における電動ウィンチの重要性

港湾・海洋土木工事において、電動ウィンチは非常に重要な役割を果たしています。その理由は以下の通りです。

作業の効率化

電動ウィンチは、手動式に比べて大きな荷重を高速で巻き上げることができるため、作業の効率化につながります。これにより工期の短縮が可能となり、工事全体のコストダウンにも寄与します。

作業員の負担軽減

手動式ウィンチでは、作業員の体力に頼る部分が大きいのに対し、電動ウィンチは電動モーターの力で巻き上げを行うため、作業員の身体的負担が大幅に軽減されます。熟練の技能を必要とせずに操作できるため、人材の確保や育成の面でも有利です。

安全性の向上

電動ウィンチには、過負荷防止装置や緊急停止装置などの安全機能が備えられています。これらの機能により、吊り荷の落下や作業員の巻き込まれ事故などを未然に防ぐことができます。手動式に比べて、安全性の高い作業が可能となります。

環境への配慮

電動ウィンチは、ディーゼルエンジン駆動の油圧ウィンチに比べて、排気ガスや騒音が少ないため、環境負荷の低減に貢献します。また、電力を動力源とすることで、再生可能エネルギーの活用も可能です。

ウィンチ種類

ウィンチの起源は古く、紀元前にはギリシャやローマで使用されていたとされています。当時は人力や畜力で動力を得ていましたが、産業革命以降は蒸気機関や内燃機関、電動モーターが用いられるようになりました。

現代のウィンチは、電気やディーゼルエンジン、油圧などを動力源とし、用途に応じて多様な形状や機能を持つものが開発され、その動力源や構造、用途によって、様々な種類に分類されます。

代表的なものとしては、電動ウィンチ、油圧ウィンチ、エアウィンチなどがあります。また、ワイヤーロープを巻き取るドラムの形状によって、シングルドラム式とダブルドラム式に分けられます。ウィンチには、動力源の違いから大きく分けて手動式と電動式の2種類があります。

手動式ウィンチ

手動ウィンチ
手動ウィンチ

人力でハンドルを回したり、レバーを動かしたりすることで巻き上げる方式です。ハンドルやレバーの操作方法の違いにより、回転式とラチェット式に分類されます。

  • 回転式:ハンドルを360度回転させて巻き上げる方式。コンパクトで持ち運びに便利。 狭い場所や電源が確保できない環境で活躍します。巻き上げ荷重は通常100〜1000kg程度です。
  • ラチェット式:ハンドルのレバーを左右に動かして巻き上げる方式。狭い場所での作業に適しています。ハンドルを往復させるだけなので、連続した作業でも疲労が少ないのが特長です。巻き上げ荷重は500〜3000kg程度まで対応可能です。

手動式ウィンチは、構造がシンプルで故障が少なく、メンテナンスも容易という利点があります。一方で、巻き上げ速度が遅く、作業者の体力に依存するため、大きな荷重や長時間の作業には不向きです。

電動式ウィンチ

電動ウィンチ
電動ウィンチ

電動モーターの力で巻き上げる方式です。長距離の吊り上げや頻繁な作業に向いています。巻き上げ速度を自在に調整できるインバータ制御のタイプもあります。

大きな起動トルクが得られ、伝導効率に優れているのが特長です。電動式ウィンチの巻き上げ荷重は、小型のもので100kg程度、大型になると数十トンに及ぶものもあります。

巻き上げ速度は毎分10〜30m程度が一般的です。ワイヤーロープの長さは数十mから100mを超えるものまで多岐にわたります。

電動式ウィンチは、大きな荷重を扱える、高速で巻き上げできる、作業者の負担が少ないなどのメリットがあります。

手動式に比べて重量があり、電源が必要、故障のリスクが高い、価格が高いなどのデメリットもあります。

これらのウィンチには、安全装置として過巻き防止装置、荷重検出装置、ワイヤーロープ破断検出装置などが備えられているものもあります。

東日本海洋建設の電動ウィンチ

東日本海洋建設では、定格荷重200kgの電動ウィンチを2台使用しています。海洋土木工事で重量物の吊り上げや資材の運搬に活躍しており、作業の効率化に一役買っています。

電動ウィンチを採用することで、作業員の負担を大幅に軽減できます。
200kg型の電動ウィンチは、比較的コンパクトで扱いやすいサイズながら、重量鋼材や重機部品、土嚢袋などを十分に吊り上げられる能力を備えています。

ワイヤーロープの長さは工事の規模に合わせて選定します。

ウィンチの安全な使用と管理について必要なこと

海洋土木工事では、ウィンチを安全に使用し、適切に管理するためには、次のような点に留意する必要があります。

定期的な点検とメンテナンス

海洋土木工事では、塩分を含んだ海水や潮風にさらされるため、ウィンチの錆びや劣化が進行しやすくなります。

そのため、安全装置や機械部分、ワイヤーロープに摩耗や変形、損傷がないか、陸上の工事以上に頻繁に点検を行う必要があり、その目を養う必要があります。

適切な使用環境の確保

波や潮流の影響を受けやすいため、ウィンチの設置場所は、十分な強度と安定性を持ち、作業に適したスペースが確保できる場所を選ぶ必要があります。

荒天時には作業を中止するなど、気象・海象条件に応じた適切な判断を求められますのでその判断能力も求められます。

過負荷の防止

ウィンチや吊り具の能力を超える荷重をかけると、重大な事故につながります。特に、海象条件が悪化した場合、吊り荷に想定以上の力がかかることがあるため、荷重計を使用して適切な荷重管理を行う必要があります。

東日本海洋建設では、電動ウィンチを用いていますが、安全かつ効率的な据え付け作業を行っています。ウィンチの点検・メンテナンスを徹底し、熟練したオペレーターが適切な手順で操作することで、無事故・無災害での工事の完遂を目指しています。

ウィンチの運転に必要な運転業務特別教育について

事業者は、ウィンチの運転業務に労働者を就かせる場合、運転業務特別教育を行う必要があります。これは労働安全衛生法に定められた義務です。

運転業務特別教育の対象は、定格荷重が0.5トン以上の「動力で駆動されるウィンチ」の運転業務に従事する作業員です。

ただし、床上操作式クレーンやクレーン以外のウィンチでゴンドラに関するものは除かれます。

ウィンチの運転業務特別教育は学科講習と実技講習で構成されます。学科講習は6時間以上、実技講習は4時間以上の受講が義務付けられています。

例えば、一般社団法人中小建設業特別教育協会などが実施する講習会を受講することができます。

運転業務特別教育、学科講習の主な内容は、ウィンチに関する知識、運転のために必要な力学、電気、ワイヤーロープの取り扱いなどに関する知識、関係法令です。

実技講習では、ウィンチの操作方法、合図の方法、運転実践などを行います。講習を受けたい方は、企業や民間で行っている運転業務特別教育の講習会にアクセスしてみるとよいでしょう。

まとめ

ウィンチは、建設現場や工事現場などで重量物の吊り上げや運搬に欠かせません。ウィンチには、手動式と電動式があり、用途や作業環境に応じて選定します。

東日本海洋建設では200kg型の電動ウィンチを使用し、海洋土木工事の効率化と安全性向上を図っています。

ウィンチは便利な反面、誤った使い方をすると重大な事故を引き起こしかねません。適切に管理し、決められた手順を遵守して使用することが重要です。

ウィンチの運転には運転業務特別教育が必要であり、作業員は必要な知識と技能を習得する必要があります。安全装置を備え、かつ正しく使用することで、その能力を最大限に発揮することができます。日々の研鑽にこの記事をお役立てください。

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