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超音波厚さ計の原理と使い方

超音波厚さ計は、海洋土木工事で資材や構造物の厚さを測るために使用されます。片手で持って操作できるほど簡単に扱える小さな機械なのに、その機械の果たす役割は重要です。

この記事では、超音波が資材や構造物を測定するのにどのように使われるのか、超音波厚さ計の原理や特徴、海洋土木工事での利用について詳しく説明します。

超音波厚さ計とは

超音波厚さ計(UMX-2)
超音波厚さ計(UMX-2)

超音波厚さ計とは、超音波を利用して物体の厚さを測定する機械です。超音波とは、人間の可聴域よりも高い周波数の音波のことを指します。

物体に超音波を当てるとその物質により、超音波が伝わる速度が異なります。空気中よりも固体や液体中の方が伝播速度が速く、直進性が高いという特性があります。

その性質を利用して物体を測定します。超音波厚さ計で厚さを測る際には、物体の厚さを「肉厚」と表現します。

超音波厚さ計は、配管やパイプ、タンクなどの肉厚測定に広く用いられており、配管などの内面の腐食検査や製品の品質管理などに活用されます。

超音波厚さ計の特徴

超音波厚さ計の大きな特長は、片面からの測定が可能な点が挙げられます。配管などの内側からの測定が困難な場合にも、片面のみ露出していれば測定が可能となります。

また、その対象物を破壊することなく測定できる上、金属だけでなく、プラスチックやガラスなどの様々な材質に対応可能です。

特別なトレーニングや資格がなくても簡単に使用できるのも魅力のひとつです。

超音波厚さ計の原理

超音波厚さ計の物体を測定する原理には、パルス反射法と共振法の2つがあります。

パルス反射法

パルス反射法の原理が超音波厚さ計の原理として一般的です。物体を測定するための探触子から発信された超音波パルスが、測定対象物の表面と裏面で反射し、探触子に戻ってくるまでの時間を測定します。

パルス反射法は、広い範囲の厚さ測定に適しており、片面からの測定が可能という利点があります。

共振法

共振法は、探触子から連続的に超音波を発信し、測定対象物の厚さに応じた共振周波数を測定する方法です。

探触子から発信された超音波が、測定対象物の表面と裏面で多重反射を繰り返すと、特定の周波数で共振が起こります。

共振法は、薄い材料の測定に適しており、高精度な測定が可能です。ただし、測定可能な厚さ範囲が限定的で、両面からのアクセスが必要となります。

超音波厚さ計の種類

さらに、超音波厚さ計には、探触子の数や表示方式によって、いくつかの種類があります。

一探触子型

一探触子型は、1つの探触子が超音波の送信と受信を兼ねる構造になっています。比較的厚い材料の測定に適しています。構造がシンプルで、小型軽量化が可能という利点があります。

ただし、探触子と測定対象物の間に隙間があると、正確な測定ができなくなるため、接触媒質(カプラント)の使用が不可欠です。

二探触子型

二探触子型は、超音波の送信用と受信用に2つの探触子を使用する構造になっています。薄い材料や凹凸のある表面の測定に適しています。

送信探触子と受信探触子の間隔を一定に保つことで、安定した測定が可能となります。また、高温の測定対象物にも使用できる特殊な探触子もあります。

デジタル式とアナログ式

超音波厚さ計には、デジタル式と、アナログ式があります。デジタル式は、測定値を直読できます。アナログ式は、測定値の変化を連続的に確認できるため、経年変化の傾向を把握しやすい上、データの記録や統計処理がしやすい特徴があります。

海洋土木での超音波厚さ計の使用例

弊社では、UDM-750型とUDM-100型という超音波厚さ計が、海洋土木構造物の肉厚管理に使用されています。

UDM-750型

超音波厚さ計(UDM-750)
超音波厚さ計(UDM-750)

建物の地盤が軟弱な場合に地中に打ち込む鋼性の杭である鋼管杭や、河川・護岸工事などの水を止めたり、地番を掘削したりするときに土砂の崩壊を防ぐ板である、鋼矢板の、残存している肉厚を測定することで腐食状況を把握します。

測定範囲:0.80~250.0mm(鋼)
最小表示単位:0.01mm(99.99mmまで)、0.1mm(100.0mm以上)
精度:±0.02mm(0.80~40.00mm)、±0.03mm(40.01~99.99mm)、±0.5%(100.0mm以上)
オプション機能:上下限値の設定、任意の値を基準とした差の表示

UDM-100型

岸壁や護岸の鋼板の肉厚測定に使用されています。鋼板は、加工前の金属板のことで、一般に鉄板と呼ばれています。データロガー機能により、測定データの記録と管理が容易です。

データロガー機能とは、温度、湿度、圧力、照度、加速度、振動といった様々な側面から物体の容量を測定し、そのデータを記録できる機械のことをいいます。

測定範囲:1.20~225.0mm(鋼)
最小表示単位:0.01mm(99.99mmまで)、0.1mm(100.0mm以上)
精度:±0.05mm(1.20~99.99mm)、±0.5%(100.0mm以上)

超音波厚さ計のそのほかの使用例

超音波厚さ計は、様々な産業分野で活用されています。ここでは、代表的な使用例を紹介します。

プラント設備

石油・化学工場では、配管や圧力容器、熱交換器などの設備が高温高圧の過酷な環境下で使用されています。

配管の曲がり部や分岐部など、応力が集中しやすい箇所の肉厚測定に活用されています。設備の余寿命を予測し、適切な保守・交換計画を立てることが可能となります。

航空宇宙産業

航空機や宇宙機器には、軽量化と高強度化が求められるため、アルミニウム合金や複合材料などの特殊な材料が使用されています。

これらの材料は、疲労や腐食による劣化が問題となることがあります。定期的な肉厚測定により、航空機の安全運航と宇宙機器の安全性の向上に貢献しています。

まとめ

超音波厚さ計は、パルス反射法や共振法を原理とした、物体を解体せずに簡単に肉厚を測定できる機器です。様々な産業分野で活用されています。

特に、海洋土木や工場設備、航空宇宙産業などでは、構造物の安全性と信頼性を確保する上で欠かせないツールとなっています。

東日本海洋建設では、UDM-750型とUDM-100型の超音波厚さ計を用いて、海洋土木構造物の肉厚管理を行っています。

これらの機器を活用することで、構造物の長寿命化と安全性の向上に努めながら国民の皆さんの役に立つ海洋土木工事に励んでいます。

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