2024-09-05
浚渫工事とは?特徴や方法をご紹介します
浚渫工事( しゅんせつこうじ)を知っていますか?港や河川を維持するためにとても大切な役割を持っている浚渫工事ですが、その実態は実はあまり知られていません。
この記事では、海洋土木工事の一つである浚渫工事について詳しく解説していきます。この記事を読めば、浚渫工事が私たちの暮らしを陰ながら支える、なくてはならない存在であることを理解できるでしょう。
この記事では以下のような内容をご紹介しています。
浚渫とは
浚渫とは、河川や港湾などで、水底の土砂などを掘り上げることを言います。
浚渫工事とは
浚渫工事とは、河川、湖沼、港湾、漁港などの水底に堆積した土砂やヘドロなどを、浚渫船と呼ばれる作業船を用いて掘削・吸引し、指定された場所へ運搬する工事のことです。
水深を確保し、船舶の安全な航行や洪水を防ぐことを目的としています。浚渫工事は、土木工事の一種です。
浚渫工事の目的
浚渫工事は、以下のような目的で行われます。
船舶の安全な航行の確保
水深が浅くなると、船舶が座礁したり、航行に支障をきたす可能性があります。浚渫工事によって水深を確保することで、船舶の安全な航行が可能です。
治水対策
河川や湖沼に土砂が堆積すると、水の流れが悪くなり、洪水のリスクが高まります。浚渫工事によって土砂を取り除くことで、河川や湖沼の貯水能力を増加させ、洪水を防ぐことが可能です。
港湾・漁港の機能維持
港湾や漁港では、船舶の接岸や荷物の積み下ろしを行うため、一定の水深が必要です。浚渫工事によって水深を維持することで、港湾や漁港の機能を維持します。
水質改善
水底に堆積したヘドロは、水質汚濁の原因となります。浚渫工事によってヘドロを取り除くことで、水質を改善することが可能です。
埋立地の造成
浚渫工事で発生した土砂は、埋立地の造成材として利用することができます。
浚渫工事の種類
浚渫工事は、グラブ浚渫工事とポンプ浚渫工事の2種類があります。以下に説明していきます。
グラブ浚渫工事
グラブ浚渫工事は、海底にある土砂を掴んで掘り下げていく方法です。グラブ浚渫線の先には、グラブバケットと呼ばれるクレーンが搭載されていて、土砂を掴んで引き上げると、運搬用の船で埋立地などへ輸送されていきます。
グラブ浚渫はポンプ浚渫に比べると、作業時間がかかる傾向にあるので、狭い範囲の工事に向いています。
ポンプ浚渫工事
ポンプ浚渫工事は、ポンプで土砂をストローで吸い上げるようにして海底を掘り下げていく方法です。ポンプ浚渫船の先には、回転式のカッターヘッドと吸い口があり、カッターで土砂を崩しながら、ポンプの力で水とともに土砂を吸入します。
吸い取られた土砂は、ポンプ浚渫船から直接埋立地に運び出すことができます。ポンプ浚渫は短時間でたくさんの土砂を処理できるため、大規模な工事に向いています。
浚渫工事を行う場所
浚渫工事は、以下のように、河川や海など、様々な場所で行われています。
河川
河川は、土砂の堆積や流木の発生により、水深が浅くなったり、流れが滞ったりすることがあります。浚渫工事は、これらの問題を解決し、治水機能を維持するために欠かせないものです。
大規模な河川では、定期的に浚渫工事を行い、土砂を撤去することで、治水機能の維持に努めています。また、近年では、自然環境に配慮した工法も取り入れられるようになっています。
例えば、浚渫した土砂を河川敷に盛り土し、湿地帯を造成する取り組みなどが行われています。
海
海では、港湾や航路の維持、埋め立て工事などに伴い、浚渫工事が行われます。特に、大型船舶が安全に航行するためには、十分な水深が必要となるため、定期的な浚渫工事が不可欠です。
近年では、浚渫工事によって発生する土砂を有効活用する取り組みも進められています。例えば、浚渫土砂を用いた人工島の造成や、海岸線の侵食を防ぐための養浜などが挙げられます。
浚渫工事の手順
浚渫工事は、一般的に以下の手順で行われます。
- 1. 調査:浚渫工事を行う前に、水深、底質、周辺環境などを調査します。
- 2. 浚渫計画の策定:調査結果に基づいて、浚渫工事の規模、工期、費用などを検討し、浚渫計画を策定します。
- 3. 浚渫工事の実施:浚渫船を用いて、水底の土砂などを掘削・吸引し、台船やパイプラインを使って指定された場所へ運搬します。
- 4. 養浜工事:浚渫した土砂を、海岸に運び、砂浜を造成する工事です。海岸浸食の防止や、観光資源としての活用などが目的です。
- 5. 完成検査:浚渫工事が完了した後、計画通りに施工されているかを確認する検査を行います。
浚渫工事と海洋土木
浚渫工事と海洋土木は密接に関係しており、地球温暖化による海面上昇や気候変動に対応します。高潮や津波に対する防災機能の強化、海岸線の侵食対策、海洋再生可能エネルギー施設の建設などがそれにあたります。
以下は、浚渫工事が海洋土木工事でどのように活用されているかの例です。
海洋土木構造物 | 浚渫工事の役割 |
---|---|
港湾施設(岸壁、防波堤など) |
1.水深を確保し、大型船舶の接岸を可能にする 2.航路を整備し、船舶の安全な航行を確保する |
橋梁 |
1.橋脚の基礎を構築するために、海底の地盤を安定させる 2.航行する船舶のための十分な水深を確保する |
海底トンネル |
1.トンネルを掘削するための作業空間を確保する 2.掘削土砂を運搬するための航路を確保する |
人工島 |
1.トンネルを掘削するための作業空間を確保する 2.掘削土砂を運搬するための航路を確保する |
浚渫工事で発生する土砂の活用
浚渫工事で発生する土砂は、かつては廃棄物として扱われることが多かったですが、近年では資源として有効活用する取り組みが進められています。
浚渫土砂の代表的な活用方法は、土地を造成する埋め立てや、砂浜を造成・回復する養浜、セメントやコンクリートなどの建設資材への利用、土壌の物理性や化学性を生かした土壌改良などです。
浚渫工事と環境問題
浚渫工事は、水深の確保や治水対策など、様々なメリットをもたらす一方で、環境問題を引き起こす可能性も孕んでいます。浚渫工事によって水底の土砂が撹拌されることで、水質が悪化したり、底生生物の生息環境が破壊される可能性もあるのです。
また、浚渫土砂の処分場が不足していることも問題となっているため、浚渫工事を行う際には、環境への影響を十分に考慮する必要があります。近年では、環境負荷を低減する浚渫技術の開発も進められています。
例えば、汚染底質を封じ込める浚渫方法や、浚渫土砂を有効活用する方法などです。浚渫工事は、環境と調和しながら、安全で快適な水辺空間を創造するために、今後も重要な役割を担っていくと考えられます。
まとめ
浚渫工事は、河川や海の底にたまった土砂を取り除き、水深を確保することで、船舶の安全な航行や洪水被害の軽減に貢献しています。また、浚渫工事は海洋土木工事の一環として、港湾整備や埋め立てなど、私たちの生活に欠かせない様々な場面で活躍しています。
今後、地球温暖化の影響による海面上昇や、老朽化した港湾施設の改修など、浚渫工事の需要はますます高まっていくと考えられます。
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