2023-02-15
ケレン作業とは?どんな作業?なんのためにやるの?
ケレンとは?
ケレン作業とは、塗装前に行われる重要工程の1つです。状況に合わせた工具や方法で、塗装したいものの表面を平滑化することで、塗装もしっかり付着し綺麗な状態を長持ちさせる効果があります。
しかし、とても重要な工程である「ケレン」には明確な定義がされていないのです。そこで、この記事では、ケレン作業を知らない初心者の方にもケレン作業とはどのようなものなのかを知っていただけるような内容にしております。
この記事では以下のような内容をご紹介しています。
ケレンの漢字はない!?語源は意外なあの英単語!
「ケレン」は日常生活で聞きなれない単語ですが、実はある英単語が語源と言われています。それは【clean】:クリーン。
クリーンは皆さんよくご存知の聞きなれた英単語だと思いますが、このような意味があります。
- 清潔な,よごれていない
- でこぼこ[ぎざぎざ]のない
内容としてはケレン作業と似ていますよね。このような意味や発音の類似が、ケレンがクリーンの訛りといわれている理由です。なので、ケレンには漢字はなく、塗装の請求書などに“ケレン作業費”などと記されていた場合、カタカナの記載が正解になります。
ケレンには種類がある!
ケレン作業は、大きく分けて4種類に分類されます。1種〜4種と呼ばれ、ケレン作業をする場所の面積や古い塗装の剥がれ具合、劣化の状況、膨れ、周辺状況によって、どの種類のケレン作業が適しているのかを判断します。
簡単に、4種類のケレン作業がどのような内容なのかをまとめると、次のようになります。
- 1種ケレン:ブラスト法を用いてさびや旧塗膜を徹底除去
- 2種ケレン:ディスクサンダーなどの動力工具を用いる素地調整
- 3種ケレン:健全な膜をを残し、劣化した膜は除去する
- 4種ケレン:軽く目荒しする清掃ケレン
では、これらの内容をもう少し詳しく解説していきます。
1種ケレン
大型の建造物や道路橋などに行われ、さびや旧塗膜を完全に除去するケレン。研磨剤を高い圧力で打ち付けて研磨する「ブラスト法」を用いるのが、1種ケレンの特徴です。
腐食やよごれが非常にひどい場合や、施工面積が広い状況で行われ、徹底した研磨が可能なので防食効果がとても高いです。
デメリットとしては、大掛かりな作業になることや、飛散物が多い事、騒音による周辺への影響も大きいことです。
2種ケレン
錆の発生が広範囲にみられる場合、錆や旧塗膜を除去し鋼材が出るように研磨するのが2種ケレンです。
1種ケレンと違い、ブラスト法は使用せずエアー工具または電動工具を使って素地調整を行います。ですので、作業が職人の手作業となるため、大型の構造物や橋梁などは費用が高額にってしまうという問題があります。
3種ケレン
旧塗膜の健全な膜(塗装面にしっかり密着しているもの)を残し、その他の錆などを除去します。主に一般住宅の外壁や屋根の錆や汚れを落とす際に3種ケレンを行います。
3種ケレンは、錆の発生具合や旧塗膜の劣化割合で更にABCの3段階に分けて考えられます。
- 3種ケレンA:錆発生が面積の15~30%。塗膜異常面積が30%以上
- 3種ケレンB:錆発生が面積の5~15%。塗膜異常面積が15~30%
- 3種ケレンC:錆発生が面積の5%未満。塗膜異常面積が5~15%
作業面積に応じて、エアー工具または電動工具や手作業で錆や汚れを除去します。施工範囲が大きいほど料金も高額になります。
4種ケレン
錆などの塗膜異常面積が5%以下のケースで、健全な膜は残しそれ以外の錆や塗装の割れ・膨れを除去します。
状況にもよりますが、動力工具を使わずにサンドペーパーなどの手工具で対応が可能で、時間もあまりかかりません。
目荒しといって、塗装する面にあえて凹凸をつけ塗膜が張りやすく、剥がれにくくする方法を行うのも4種ケレンに含まれます。
ケレン作業で使う道具
1種ケレンはショットブラストやサンドブラストなど、研磨剤を高圧で噴出しぶつけることで鋼材面を露出させます。
その他の2種から4種ケレンでは、ほとんど同じ道具を使用。ケレン作業で使用される道具は、大きく分けてエアー工具または電動工具と手工具の3種類あり、以下のようなものがあります。
【エアー工具】
- エアーチッパー
- エアーチゼル
- エアータガネetc…
- ディスクサンダー
- ブリストルブラスター
- チッパー
- サンドペーパー
- カップワイヤーホイル
- ウォータージェットetc…
- ケレン棒=スクレーパー
- ハンマー
- ブラシ
- 塗膜剥離剤
【電動工具】
【手工具】
削り落とす
ディスクサンダーやブリストルブラスターは、エアーや電動で研磨用の円盤を回して、研磨面に充てることで汚れや錆、旧塗膜を削り取ります。角など電動工具で当てにくい場所などは、ケレン棒で塗布面を突くことでそぎ落とします。
叩いて落とす
エアチッパーは、工具先端で叩きつけるように施工面にあてることで、錆の粗落とし作業を行います。手工具のハンマーは、叩く面が尖っており電動工具があてられない細かい部分などを叩く際に使用します。
磨く・削る
電動のブラシで錆を削るカップワイヤーホイルや、目荒しで使用するサンドペーパーは、ボルトなどの細かな部分で使用することが多いです。
ある程度、研磨が完了して清掃段階の際には手工具のブラシを使用して、仕上げや周辺の清掃を行います。
その他
ウォータージェットは、専用電動工具で水を高圧で吹き付けることで塗膜を剝がすので、効率的ですが、大量の水が出るので使用できる場所が限られます。
塗膜剥離剤は、科学的に塗膜をとるもので、有害成分が含まれる塗膜を剥がすときに粉塵が出ないで済むので非常に有用です。しかし、溶かした成分がたれ落ちるので、有害成分が付着しないよう配慮が必要になります。
まとめ
この記事ではケレンの種類や使用する道具について説明しました。
ケレン作業は、塗装の密着度を上げ、仕上がりや効果、そして耐用年数に影響を及ぼすとても重要な作業です。
ケレン作業が必要場合、施工箇所の面積や材質、状況を把握してどのケレンが一番向いているのかを判断して行っていきます。
また、「ケレン作業で粉塵飛散を防ぐ道具とは?」の記事では、ケレン作業時の粉塵飛散を防ぐための道具について紹介しています。こちらも併せてご覧ください。
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